【姫様たちの退屈】
アイテム交換 編
むかしむかし……ではありません。

ある日、白雪姫とシンデレラと赤ずきんちゃんとかぐや姫が、連れ立ってとあるカラオケボックスに来ておりましたとさ。


「ヒマね……」
「じゃあ歌えば?」
「歌いたい曲とかないし。あんた歌えば?」
「やーよ、めんどくさい」

とか、白雪姫とシンデレラが勝手な事を抜かしている脇で、赤ずきんちゃんはオレンジジュースをちびちびと飲み、かぐや姫はというと……

「…………」

ぼーっと宙をみつめておりました。

なんのためにこんな所にいるのか、もうよくわからない4人でしたが、とにかく暇だったので目についたこの店に適当に入ってみただけのようです。

やがて、ふと、

「あ、そうだ、いいこと思いついた」

と、シンデレラが言いました。

「ねえ、みんなが持っている持ち物、交換してみない?」

「え?」

「交換?」

「……」

みんなの目が、一斉にシンデレラへと向けられます。

「そう、交換と言っても、別にあげるわけじゃなくてさ、一時的にちょっと貸し借りするだけ。なんていうの、コスプレみたいな感じでさ」

なんて、彼女の提案に、一同はちょっとだけ考える顔をしましたが、

「まあ……いいけど」

最初に、白雪姫が頷きました。

表情も口調も積極的なものではありませんでしたが、他に良い暇つぶしも思いつかないので、まあいいや、という感じです。

「みんながいいなら、私も構いませんけど」

と、赤ずきんちゃんも言いました。

彼女は基本的に良い子なので、空気も正しく読みます。ここで反対しても、良いことなどなにもありません。

「ええっと~……」

最後に残ったかぐや姫ですが……

「なんだか楽しそう~。で、一体何をするの~?」

小首をかしげて、ふんわり微笑みました。

話聞いてなかったのかよ! と、心の中でみんな一斉にツッコミましたが、かぐや姫は元々こんなです。おっとりとマイペースの度合いがレッドゾーンを突き抜けちゃってる人だったりします。

「あのですね……」

すぐに気を取り直したしっかり者の赤ずきんちゃんが、丁寧な説明を開始しました。かぐや姫はニコニコ笑ってうんうん頷いていますが、通じているのかいないのかは、神様ですらわかりません。

「さて、じゃああたしはクジ作るわ。あと、飲み物がみんなもうないわね。誰か適当に注文しといて」

そう告げると、シンデレラは紙ナプキンを器用に裂いてこよりを何本も作り始めました。

「オッケー。飲みたいものがある人、あたしに言ってねー」

と、白雪姫が部屋の電話を取ります。


それからややあって、4人はそれぞれ、交換する自分のアイテムを取り出すと、テーブルの上に置きました。

シンデレラは、ガラスの靴。

白雪姫は、毒りんご。

赤ずきんちゃんは、赤ずきん。

かぐや姫は……十二単の袖口から、長さ3m以上もある立派な竹を取り出しました。なんでそんな所にそんなものがしまってあるのかは分かりませんし、物理的にも不可能にしか思えませんでしたが、たいして珍しい事でもなかったので、それについては誰もツッコミを入れませんでした。

もうじき、注文した飲み物も届くでしょう。

さあ、姫様達のアイテム交換会の始まりです!