【博士と助手】
画期的洗濯機 編
「ふっふっふ、助手君、新しい発明が完成したぞ!」

という声と共に、『研究室(許可無く入った者には等しく滅びの時を)』と書かれた研究室の扉が開き、久しぶりに中に篭っていた博士が姿を見せた。

「今回は一体何の発明なんですか?」

助手としてはそう尋ねざるを得ないので、僕は振り返る。正直な話、あんまり聞きたくない。

博士はそんな僕の気持ちなどまるで心得た風もなく、得体のしれない染みや汚れにまみれた白衣の胸をぐっと逸らして、すぐさま自慢気に答えた。

「聞いて驚け、洗濯機じゃ!!」

……以外に普通の言葉だ。普通すぎてちょっとびっくりしたくらい、普通だった。

「はあ、洗濯機……ですか。ドラム式とか、節水効果が高いとか、洗濯槽が斜めになっているとか、でしょうか?」

「何を言っておる、そんな今どき当たり前のつまらん機能などではない! もっと革新的かつ革命的、世間の度肝を抜いて余りある恐るべき性能を持たせた洗濯機なんじゃぞ! 多少のデメリットもあるが、代わりに値段設定はリーズナブルじゃ!」

……うん、訂正。やっぱり普通じゃなさそうだ。

「はあ……なんだか嫌な予感しかしませんが、一応聞かせてもらえませんでしょうか?」

「良いとも! 耳の穴をかっぽじってよく聞くがいい!」

そして僕は博士の説明を聞きつつ……こんなモノを世に出してはいけないと確信して、必死に博士の発明品を闇に葬るべく今回もいらない努力する事になるのであったとさ。